インナーコートハウス -北側からやさしい光が広がる空間-
コンセプト
敷地は旗竿敷地で南側隣地には工場があります。北側は2m程度下に水路と畑があり、抜けのある空間が広がっています。クライアントは安定的な室内住環境を望まれており、室内温度が上がることを避けたい。とのご要望から、春の日射取得より秋の日射遮蔽を望まれました。このような条件から、北から南への勾配屋根として南側に庇を設けるかたちとしました。南側の窓はハイサイドライトとして、秋分の日の敷地の南中高度55°日射を遮蔽する軒の出と窓の高さとしました。メインの空間は室内も勾配天井とすることで、熱を上部に逃しやすい空間構成としました。さらに北側にメインの開口部を設けることで、間接光のようなやわらかい光を室内に取り込みつつ、隣地の緑を借景として楽しむこともできる空間としました。このようにしてうまれたメイン空間の両側にプライべート空間を配置することによって、中庭式のコートハウスのような構成となり、インナーコートハウスというコンセプトとしました。
敷地周辺環境と配置計画・間取計画・空間構成
建物は南側に隣地工場があるため、極力北側に寄せる配置としました。接道が敷地南西からとなるので、建物西側にインナーガレージを設けました。 西側隣地はまだ家が建っていないものの、宅地で西側ということもあり、日射遮蔽のために開口部をゼロとしました。 インナーガレージは高さをFLまであげて、ポーチから玄関へと極力段差のないアクセスとしました。玄関からメイン空間であるインナーコートへも、最小限の段差としました。インナーコートには天井高の高い勾配屋根の心地よい空間に、キッチンとダイニングとリビングがあります。インナーコートは建物の中心に配置されており、車椅子でそこから諸室にアクセスすることができます。奥さんの部屋は玄関近くの北西に配置し、室からW.C+洗面スペースにアクセスできます。娘さんの部屋は北側に配置することによって、上部のロフトスペースを使うことができます。南東に配置された旦那さんの部屋は、インナーコートから書斎を介してアクセスします。このように個室を分散して、個人のプライバシーを尊重する配置としました。一方、個室からインナーコートに一歩出ると、広がりと心地良い距離感のあるセミパブリック空間で、家族とつくろぐことができます。
□計画概要
所在地:愛知県西尾市 用途:戸建住宅 家族構成:夫婦+子供1人 構造:木造平屋
Produced by R+house